ピアノ講師の仕事に疲れたとなったとき、試してみたい”3つの思考法”
Oct 04, 2023
仕事をしていると、誰しも一度は経験する疲労感。
いつもやりがいを持って生き生きと仕事ができれば理想的ですが、現実では日々の業務の中で様々な負担が降りかかってきます。一時的に軽い疲れを感じる程度であれば珍しいことではありませんが、蓄積された強い疲労は仕事として何かが足りていない、うまく回っていない証拠かもしれません。
ピアノ講師という仕事は、それぞれの生徒の特徴に合わせたレッスンに向き合い続けていかなければなりません。音楽教室の委託や個人教室などの勤務形態にかかわらず、レッスンの進め方は講師の判断にゆだねられることが大半です。音楽という決まった答えのない分野を、様々な生徒に合わせて指導していくというのは、ただ漠然と自分のやりたいように教えていけば良いということではありません。
芸事の指南というと、弟子が師匠の芸を吸収した上で、自分のやり方を身につけていくことが多いですが、その場合は弟子にその道を極めていくという強い意思と、この師匠のようになりたいという魅力を感じていることが前提となるでしょう。
習い事として通うピアノ教室において、始めから極めることを目的にピアノをやり始める人は、かなり少ない割合です。「楽譜が読めるようになりたい」、「手頃な教室で楽器演奏を楽しむ時間を作りたい」など、趣味として気軽に始めるパターンが多い傾向にあります。よって、ただ単に自分がピアノを弾く上での知識や技術を懸命に伝えるだけでは、ピアノ講師として厳しいものがあるのです。
ピアノ教室にも、生徒のニーズに対応するビジネスとしての側面が必要になってきます。ピアノを通じて教育を行うだけではなく、サービス業として有意義な時間を提供する仕事と捉えることもできます。安定した気持ちでピアノ講師を続けていくには、仕事としてうまく立ち行っていない部分を明確にし、疲れを軽減させていくことが大切です。
関連記事:「ピアノ講師を辞めたい!」と思ったときに考えておきたい3つの選択肢
そこで今回は、サービス業としてのピアノ講師のあり方を、ビジネスで重要視されることの多いトリプルシンキングにのっとって考えていきます。トリプルシンキングとは、クリティカルシンキングとラテラルシンキング、ロジカルシンキングの3つの考え方のことを指します。それぞれの考え方を講師業に活かして、疲労になりうる要因を見直してみましょう。
ピアノ講師を続けることに疲れたと感じてしまう瞬間
まずは、疲労感の原因について考えていきましょう。
疲れには、主に精神的負担と体力的な疲労があります。漫然と疲れたと感じてしまっている人は、いくつかの小さな負担が少しずつ積み重なっているのかもしれません。心当たりを見つけていき、気に留めていなかった要因を掘り起こしてみましょう。
原因1.生徒(保護者)の言動に対するストレス
精神的な疲れを感じやすいのは、指導上のすれ違いや人間関係の問題によるものです。
生徒が家で練習をしてこなかったり、レッスンの態度にやる気を感じられないなど、思うようにピアノ指導を進めていけないつらさや、生徒や保護者との折り合いがつかない苦しさが生じることがあります。
指導カリキュラムの悩みは対応によって、一時的な問題として解決することが多いですが、人間関係の問題は人との相性によるものなので、適切な対応を考えなければ、長期にわたり複雑化するかもしれません。すれ違いからくる大きなトラブルに発展しないよう、注意が必要です。
レッスンにおけるストレスに振り回され、自分自身のコントロールが難しく感じている人はこちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:ピアノ講師はストレスが多い?抱えがちなストレスの原因と対処法を徹底解説
原因2.自分への失望
自分に対するもどかしさに疲れてしまう人もいます。特に大学等で専門的に音楽を学んだことのない人や、ピアノ講師の仕事を始めて間もない人に多いかもしれません。レッスンをやり始めた最初のうちは、レッスンの中で起こる出来事にうまく立ちまわれない自己嫌悪や、自分の実力不足を痛感して不安感を覚えることも少なくありません。なかなか臨機応変に対処していけない期間が長くなってくると、ピアノ講師としての将来を悲観してしまうこともあります。
講師としての実力に自信を持てないという悩みをお持ちでしたら、ぜひこちらの記事もご覧になってみてください。
関連記事:レベルの高いピアノ講師はここが違う!すぐに取り入れられるコツ&困ったときの対応術
原因3.体力面の疲労
過密なスケジュールを組んでいたり、準備に多くの時間をとられていたりすると、体力的な負担が大きくなってしまいます。また、活発な幼児期の生徒のレッスンでは特別、体力を消耗してしまうこともあるかもしれません。
ピアノ指導において激しく動き回ることはほとんどありませんが、常に指導法を考えたり、明るく声掛けや歌ったりしていると、意外に疲れを感じやすいものです。
疲れたと感じるピアノ講師に必要な考え方1 クリティカルシンキング
ここから3つの思考にしたがって、疲れの原因を軽減する具体的な方法を解説していきます。
まず、1つ目はクリティカルシンキングという考え方です。日本語では批判的思考と訳され、今までのやり方や常識に疑問を持って、多面的な視野で分析していくことを意味します。今までの自分の考えや対応に向き合い、ピアノ講師という仕事を行う上で本当に必要なことを、改めて検討していきましょう。
Point.1 常識としてきたことに疑問を持ってみる
今、講師として指導の基盤となっているものは、過去の自分が教わってきたことや経験したことが多いかもしれません。もちろん、教えられたことを確実に受け継いでいくことも大切なことですが、物事の本質に目を向けなければ、応用して最大限に活かしていくことができません。
上澄みをすくったような薄っぺらい指導にしないためには、主観で経験してきたことを客観的に分析していく必要があります。
主観的な感情だけに支配されると「自分はこんなに苦労してきたんだから、生徒もこの程度のつらさは味わうことが当然」とか、「私が子どもの頃、当たり前にやってた事なのに、生徒がこれくらいの事もできないなんて、やる気のない証拠」などと、偏った概念をぶつけることになりかねません。
この物事にはどこに価値があるのか、どのような状況に有効または不利なのか、ほかに変えられる方法はないのかなど、多方面からの視点を持って深く考えることで、適切な答えを導く基礎を作ることができます。漠然と当たり前に感じていたことの正当性を疑って、レッスンに必要な本質を探っていきましょう。
Point.2 生徒(保護者)の言動を掘り下げる
生徒や保護者の言動によって問題が生じている場合、様々な理由を推察してみることが大切です。人それぞれに家庭環境や事情が違えば、考え方も変わってきます。
相手の立場から物事を見ることができなければ、自分と違う価値観を持つ周りの人を否定することになり、いつまでも歩み寄れない関係が続いてしまいます。そのまま長引くと、もどかしさからくる自分の負担も増え続けていきます。
1つの正解があるからといって、その他が不正解になる訳ではありません。自分の価値観を大事にした上で、相手の価値観にどの程度歩み寄れるのか、人の事情にどこまで介入するのが望ましいのか、バランスを考えていきましょう。
Point.3 目標を立てて未来を読む
レッスンを行う上で、目標とそれを達成するための長期的な計画を立てることは重要です。生徒に対して、自分自身が経験したレッスンの流れを同じように繰り返すことは、あまり得策とは言えません。
教材ひとつとっても、昔と今では主流が大きく異なります。ひと昔前はピアノ教育の導入にバイエルの教則本を使用することが一般的でしたが、ヘ音記号や黒鍵の導入の遅さなど、問題点が指摘されるようになり、今はそういったデメリットを補う以上の、様々な特色を持つ教材が増えています。
ピアノに興味を持って楽しんでもらう時期なのか、少し上のレベルを目指して達成感を得るタイミングなのかなど、目指すゴールを明確にし、未来を見据えた適切な教材選びやレッスン計画になるよう、メリットやデメリットを多様な視点で検討していきましょう。
疲れたと感じるピアノ講師に必要な考え方2 ラテラルシンキング
2つ目は水平的思考ともいわれる、多面的な視点で問題をとらえて、今までの自分になかった自由なアイデアを考えるための思考、ラテラルシンキングです。クリティカルシンキングで分析した本質を頭に入れた状態で、新たな発想を生み出していきます。
Point.1 指導のレパートリーを増やす
様々な目的を持つ生徒に対応していくためには、退屈させない、あきさせないレッスン内容を常に考えることが必要です。
特に幼児期の生徒は、同じことを続けているとすぐにあきてしまい、周りの物に興味が散ってしまう場合も多いので、音楽から興味を離さない工夫をしていきましょう。仮に、レッスンをやらずにふざけ始める生徒がいたとしても、遊びの中へ音楽にまつわる要素を入れていけるようになると、疲れにつながるようなストレスも減っていきます。
例えば、生徒が人の言葉をオウム返しして遊び始めたら、言葉にリズムや音程をつけて真似してもらうのもいいかもしれません。少し音やリズムに関わる要素を入れるだけでも、音楽教育として意味のある、気分転換の遊びに変わります。
指導方法を考えるときに、ピアノ講師だからといって、ずっとピアノを使うレッスンにこだわることはありません。一緒に歌ったり、リズムを机でたたいたりといった、ピアノ演奏以外のレパートリーを作っておくことで、講師としての対応力が上がります。始めはすぐに思いつかなくても、日々の起こりうる出来事に音楽を混ぜる思考を癖付けることで、次第に枠にとらわれないレパートリーが増えていきます。
Point.2 様々な練習法を考える
部分練習が必要な箇所では、弾けない原因に基づいた練習法を見つけなければなりません。生徒の体格の違いなどによって曲の弾きづらさが変わってくるので、固定概念にとらわれない多様な練習パターンを持っているとスムーズに指導しやすくなります。
例えば、音程がとぶ箇所で音を外しやすくなっている場合、目をつむって弾いてみるのもひとつの練習方法です。目に頼った情報を頭で処理していると、なかなか身体の感覚で距離感がつかめずに、練習時間だけ過ぎてしまうことがあります。
また、目をつむることで耳で聞き取る音に意識が集中するため、音の質にも気付きやすくなります。鍵盤から手が離れると手元を見てしまいがちになるような状況で、あえて正反対の練習を取り入れてみることも、有効なアイデアの型になるでしょう。
Point.3 柔軟なレッスン形態
体力的な疲労が積み重なっている場合、負担の少ないレッスンへ変えていくことを検討してみましょう。生徒や保護者と相談しながらレッスン日程や時間を減らす、オンライン教室にシフトして指導していく方法があります。
オンラインレッスンを取り入れると、時間を有効に使えたり、必要経費を最小限に抑えられたりと、負担の少ない環境で講師業を続けていくことができるようになります。そのほかにも、コンクールや発表会前など、レッスン日程の融通をきかせることが容易になります。
生徒側にも講師側にも無理のない、柔軟なレッスンを新しく作っていくことで、より一層ピアノに集中できるレッスンを行うことができます。オンラインスクールの運営について詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
関連記事:オンラインスクールの作り方・始め方!構築から運営方法まで徹底解説!
疲れたと感じるピアノ講師に必要な考え方3 ロジカルシンキング
最後の考え方は論理的思考と訳される、ロジカルシンキングです。ロジカルシンキングを身につけて、自分の主張と理由を筋道立てて説明できるように、頭を整理しておきましょう。
Point.1 生徒に合わせた指導法を練る
生徒の体格や力の程度など、特徴に見合った演奏法を習得してもらうためには、理にかなったレッスンプランを考えなければなりません。初期の教則本の段階では、1冊の本を順番にやっていくことが多いですが、中級以上の曲集などになってくると指導計画に見合った曲選びから必要になってきます。
曲を音楽的に仕上げるためのイメージと、それを音で表現するための具体的な身体の使い方を身につけられるように、レッスンを適切に組み立てていきましょう。
Point.2 レッスンのルールを明確にする
円滑にピアノレッスンを行っていくためには、生徒と講師の双方に負担のないルールを作っていくことが大切です。レッスンにまつわることを曖昧なままにしていると、すれ違いからお互いの負担が増えてしまう可能性があります。
初めてピアノを習う生徒や保護者にとっては、ピアノ教室にどのような常識や当たり前が存在するのかなど、考えが及ばないことがたくさんあるかもしれません。月謝の支払いのタイミングや毎回レッスンの前後に挨拶をするなど、細かいことでも認識できる形で提示しておく方が安心です。
どのような目的なのか、どういったトラブル防止なのかなど、理解を得られる理由にのっとったルールを考えましょう。
Point.3 指導の意図を説明できるようにする
生徒や保護者が持つ様々な疑問に対して、納得できる説明ができるように日々考えておくことで、講師として少しずつ自信をつけてレッスンに臨めるようになります。講師がいくら目的を持ったレッスンをしているつもりでも、生徒側に伝わらなければ、お互いに疲れてしまうことが起こりえます。
例えば、生徒にとって曲のクリアすべき課題がわからないまま、ダラダラとレッスンを続けてしまうと、疲れて楽しさを見いだせなくなり、練習の質が落ちていきます。そうなると、進歩の見えない状況に、講師側も疲弊していく悪循環におちいってしまいます。
目的やゴールを明確にし、お互い心地よくレッスンを行えるよう心がけましょう。
このようにトリプルシンキングをピアノ指導に活かすことで、仕事上の強い武器ができます。このような意識がなくてもピアノ講師をやることはできますが、指導の深みを増していくことができなければ、どこかでバランスが崩れ、続けていくことが大変になってきます。
生徒は一人ひとり違う個性を持った人間なので、すべての相手に同じ対応策をとればいいものではありません。一番ベストな答えが必ずどこかに落ちていたり、誰かが教えてくれるとも限りません。思考の型を日常の中で活用していくことで、適切な自分の答えにたどり着くスキルを身につけてみてください。
もし、この記事を読んでも悩みが解決されなかった、あるいは直接相談してみたいという方は、無料カウンセリングも受け付けているので、こちらからご予約ください。
本記事はこれで以上となります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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